紫紺の空の一つ星

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死すは易し、目的達成は難し

特攻隊は、皆さんご存知の通り兵器もろとも敵に体当たりする部隊です。

 

「敵に体当たりをする」

 

この言葉だけでは伝わらない、これを実行する難しさ。

操縦の習得、猛訓練への忍耐、容易ならざる戦法への自身の対応、精神的葛藤、敵に攻撃されることなく目標地点到達…

そして、これらをクリアして初めて、敵艦に向かい体当たりをけしかける。

体当たりの成功も、敵艦に向かいながら敵の攻撃を交わすことができれば、の話。

 

「酒や覚醒剤で意識を朦朧とさせて出撃させる」というような話が、如何に非現実的であるか。


尋常ではない技量体力精神力が必要な特攻隊。

訓練を受けられていた方々の経歴や日記、手記を見ればそのことは一目瞭然です。

 

そもそもなぜ人が「爆弾」に乗らなければいけなかったのか、なぜ彼らが猛訓練をしていたか、そこを今一度冷静に考える人が増えれば、前述した「酒や覚醒剤で意識を朦朧とさせて出撃させる」であったり、「嫌がる人を無理矢理詰め込んだ」というような考えや発言は、直になくなるのではないかと思います。

 

体当たり攻撃に関する回天隊の彼らの言葉をご紹介いたします。

 

仁科関夫中尉

昭和19年11月8日の日記より

(前略)如何ニ人間魚雷ト云フモ体当リト云フモ、容易ノ業ニ非ズ。各部ノ其ノ間違ヒタル観念ヲ修正シ啓発スルハ又至難ノ事ナリキ。(後略)

(回天刊行会.(1976).『回天』.回天刊行会.頁:159)

 

柿崎実中尉

工廠関係者一同宛の遺書より

(前略)必死必殺ハ容易ナル業ニ考ヘラルルヤモ知レザルモ、必死必殺コソハ真ニ優秀ナル兵器アリテコソ、始メテ成功シ得ルモノト確信致シ居リ候。(後略)

(回天刊行会.(1976).『回天』.回天刊行会.頁:219)

 

前田肇中尉

昭和20年5月2日の日記より

(前略)続イテ二号艇ノ大轟音ヲ聞ク(五十二分)。ヨク頑張ッタ。古川兵曹有難ウ。胸ノ中デ手ヲ合ハス。「死スハ易シ、目的達成ハ難シ」。サレド最后マデ頑張レ。必ズヤ神助アリ。

(回天刊行会.(1976).『回天』.回天刊行会.頁:223)