実るほど頭を垂れる稲穂かな
母親が、「私、この言葉が好きなの」と教えてくれた言葉。
『実るほど頭を垂れる稲穂かな』
人格者ほど謙虚だって意味らしく…
なんかもう、半端ないくらいめっちゃいい言葉。(語彙力)
この言葉を聞いて、真っ先に頭に浮かんだのは柿崎実中尉のことでした。
柿崎さんのことは、元回天搭乗員横田寛さんの手記「あゝ回天特攻隊」を読んで知りました。
横田さんは初めて柿崎さんに会った際、士官である柿崎さんが下士官である横田さんに「よろしくお願いします」と敬語を使ったことにびっくりしたらしいです。
人を責めることを知らない性格で、柿崎家の兄弟喧嘩ではいつも仲介役、家の手伝いもよくして勉強は家の者が寝てからとりかかる、小さい頃から「若いのによくできた子」だと評判だった柿崎さん。
私は柿崎さんの遺していかれた言葉の中でも、妹さん(親戚という説もアリ)の幸子さんにあてた手紙が一番心に響きました。
響いたというか、この手紙にとても大切なことを教えてもらった気がします。(勝手にすみません…(^^;))
彼の「死」というものの見方に、それまで死が怖かった私はどれだけ救われたことでしょう。
そして彼の説く幸福とは、欲とは、そして信じる心というものに、深く共鳴しました。
なんかこう、心の穴が空いていた部分に、本当に音を立てて「ストン」と入ってきて、穴が埋まった、そんな感じです。
この手紙を読んだ時に、本当に、本当に立派な人だと思いました。
横田さんも回想で、「戦争とはいえこんな立派な人を死なすのは勿体無い」、とおっしゃっていました。
『実るほど頭を垂れる稲穂かな』
真の人格者であり、謙虚な気持ちを忘れなかった柿崎さんを表したような言葉だと感じました。
実、って字も入ってるから、なおのこと。ね。笑